2022/07/04 17:57

A.C.T.xA.F.P BLACK TSUGIHAGI COLLECTION

今回は前回のツギハギシリーズ同様、裁断後の生地を使いツギハギシリーズを創りましたが、BelstaffやBarbourの余り生地ではなく実際に生地からジャケットやバッグを作った時に出た余り生地を使っています。今回のblogは以前のツギハギシリーズで掲載したものですが、まだ読んでない人等に向けて掲載しました。お時間ある時に是非読んで下さい。

A.C.T.xA.F.P コラボシリーズはアート要素を色濃く残したアイテム創りを目指しているのだが今回のツギハギシリーズもそうだろう。
思い返せば2年前、ACT初の個展「STAY RAD」をした時の話に遡る。
展示のコンセプトはファスナーが壊れたり、生地が破けたり、匂いがきつかったりで着れなくなったオイルドジャケットを解体、再構築して鞄に創り替えるというテーマの展示。有名なブランドで言えばBelstaffやBarbourがそれにあたる。勿論発祥の地イギリスではその2ブランドだけでなく様々なブランドがワックスコットンと呼ばれるオイルを染み込ませた生地でジャケットを作っている。
その生地を使ったリメイク商品などは巷でよく見かけるが、どれも似た物ばかり。カッコいいと思わせてくれる物がない。
いつもながら、ならば自分で創ろう!そういう思いから物創りは始まる。
そんな自分の思い描く展示をするために、2年前のちょうどこれくらいの季節に日々作品創りに追われていた。

そういえば展示を見に来た海外のお客さんに
「お前のやっているこの展示、まさしくこれがUP CYCLEだ!」
と言われた言葉を今でも衝撃的に覚えている。日本にはあまり馴染みが無い言葉かもしれないが欧米では環境問題やリサイクルの意識が高いため、普通なら廃棄してしまう様な物を使ってARTやより良い物に昇華するという文化的意識がある。この様に使えなくなった物を新しく、以前使っていた時よりもより良い物や違った物にする動きをUP CYCLEというのだ。リサイクルとは違う概念の言葉だ。

話がちょっと脱線したが、既に形にしてあるジャケットを洗濯し、解体し繋ぎ合わせ、一旦生地にて裁断をし縫製をして鞄に創り替えるという気の遠くなる様な作業をこなしていたある日、裁断した後のハギレを見て「この生地も使えないかな⁉」と思った。
この時の疑問が後々このツギハギシリーズのきっかけになるのだ。






ある日ふとそんな数cm四方の小さなハギレを繋ぎ合わせてみた。
繋ぎあわせた生地を見た瞬間、なんだこの質感、色のバランス、今までに無かった感覚は。。。と思ったのを覚えている。
それこそ今までに見たことのないツギハギの生地が誕生したのだ。
オイルジャケットを着古した時の何とも言えないアジとツギハギの中にたまに入るコーデュロイのバランスの良さ、生地に元々付いているハトメ、オイルの良い感じの抜け感。生地を作った瞬間にコレは良いものが出来る!と思った。
その辺の新しい生地を使って作るなんちゃってツギハギとは違い本質共に本来あるべきツギハギの生地が出来た。
小さな生地を繋ぎ合わせて一枚の生地に仕上げその後アイテムとして形作っていこうという発想。気の遠くなる様な作業量なのは安易に想像がつくだろう。
その生地で一番最初に創ったのがMini wallet+だ。
もともとはイギリスより取り寄せたワックスコットン生地を使い格子状にステッチを入れたミニウォレットがACTからリリースされていた。表生地を今回のオイルジャケットから出たハギレで作ったツギハギに変えた物だったのだが良い物ができた。
その後もジャケットを解体し裁断をする度出てくる小さいハギレ、このハギレで何か創れないかなと考える日々。
とある日、シガさんがいつも付けているバンダリアを思いだす。ツギハギ生地であのバンダリアを創れば。。。
想像の段階で最高な物が出来ると確信した。速攻でシガさんに相談。
シガさんも「これよさそうやん。やってみよか!」の一言でプロジェクトは進みだします。

ただそこはA.C.TとA.F.Pのやる事一筋縄ではいかない。何かギミックをきかせれないか。シガさんの持っているバンダリアをそのまま出しても面白くない。ポーチ以外の部分には変化を持たせたいと思い、ファスナーや生地、ベルト等々拘った。
それでも何か足りない。最初はバンダリアだけだったのをこれをシリーズに出来ないかと考えた。
なにがいいか。。。思いついたのがシガさんいつも作っているDIYポーチ。
早速シガさんにサンプル制作をお願いしてみる。想像以上の良い出来。1つはこれで決まり。
もう一つ何か欲しいと考えていた矢先ふと店頭に並ぶサークルポーチが目に入ってきた。
これだ!!と思いこれもサンプルを創りだす。ジッパーにも拘り、更にネームや配色にも拘った。
これでシリーズとしてリリース出来ると思っていたのだが、何かもう一押し物足りなさを感じていた。。。
何だろうと悩む日々。

シリーズとしてもう1つアイテムを増やし方がいいのか?アイテムのクオリティーが低いのか?なんなんだろう。。。

以前からACTの商品にはハンドメイドの袋を付けていた。高級感を出すため不織布の袋を使いステンシルでロゴをスプレー。
梱包用の袋としては良いのだが、梱包以外に用途は無く使い捨てだ。
それだけでは今回のシリーズには何かが足りない。
ふと思いついたのがコラボロゴのパッチを付ける事だ。だがコレは他のブランドもやっている事だ。

次に思いついたのが梱包袋に縫い付けてバッチは取り外し出来、それを他の所に縫い付けれるというアイデア。
簡易な縫製なのでパッチとして使える様にすれば!
こういう時は色んなアイデアが出てくる。
それならいっその事、袋自体作って紐を通してミニショルダーや巾着、ナップサックとして使える様にすればいい。
その後試作を作ってみる。があともうひと押し足りない。
なんだろう。。。
印刷を入れてみるも何か物足りない。と言うか既にパッチが付いているのでパッチが分かりにくくなる。
今度は縫製で四方八方に縫ってみる。いいのだが何か物足りない。
あっ!とひらめいて出来たのが今回の袋の生地。
加工し終わった後の生地を見ると何と無残な姿。でもそれがカッコよかった。
タイダイで染めたような斑な模様。染料でも顔料でもない加工が功を奏した。
これを縫いしろムキ出し、糸も切らずの状態で作ってみた。良いのが出来た。
これで梱包用の袋は決まり、と言うより梱包にも使えるナップサックやサコッシュの出来上がりだ!
ようやくこれでリリース出来る。

いつも思うのがアイテムを売り出すまでに何年の歳月を費やしているのだろう。
でも良い物が出来た瞬間のあの喜びはそんな苦労も忘れさせる。そして癖になる。だからやり続けるのだろうか。

ただそんなアイデアをリスペクトも無くいとも簡単にパクったりする人達がいる。時代だろうか。。。
前にも書いた通りそのアイデアを創り出すのに何年というの時間をついやしているのに。
生みの苦しみというのは本当に大変な事だと物創りを本気でしているとわかる。

そんなこんなでシガさんとコラボする時はいつもシガさんが作る以上の物を自分の中で昇華して創ろうとしている。
そんな自分に付き合ってくれるシガさんには本当に感謝しかない。
ありがとうございます。

次はいつ新作をリリースするかわかりませんが、今後ともA.C.TxA.F.Pのアイテムを楽しみにしていてください。
宜しくお願いします。

それではまた次回お楽しみに!!